㉘ 走行速度と制動距離の関係が示す、ブレーキタイミングの重要性。 

この同じようなカーブを描く2つのグラフの左は自転車の速度と運動エネルギーの関係を示したもの、右は乾いたアスファルト路面での自転車の速度と最短制動距離の関係を示したものです。
まず運動エネルギーについては、
∗ 運動エネルギー =(重量 × 速度²)÷ 2
で算出されるため、重量が同じなら速度の二乗に比例して増減します。
次に制動距離については、制動すなわちブレーキングはこの運動エネルギーを人為的に小さくしていく行為ですから、運動エネルギーの変化と同調して制動距離が変化し、制動距離のグラフは必然的に運動エネルギーのグラフと同じようなカーブを描くことになります。
たとえば、同じ30km/hの減速でも、40km/hから10km/hにするのに必要な距離は6.8m(計算値)ですが、70km/hから40km/hにするのには2.2倍の15.1m(計算値)が必要で、速度と減速に必要な距離の「読み」が大切なことを示しています。
ちなみに半径13mφのほぼ限界速度30km/hに減速するのに必要な距離の計算値は、80km/h:25.2m、70km/h:18.3m、60km/h:12.4m、50km/h:7.1m、40km/h:3.2mです。


左グラフは10km/hでの運動エネルギーを1として、速度と運動エネルギーの関係を示したもの。80km/hは10km/hの8倍だが、運動エネルギーは64倍にもなる。
右グラフは速度と制動距離、そして制動所要時間の関係を示したもの。減速度が同じでも初速度によって制動距離は大きく異なるが、所要時間はほとんど変わらない。グラフの線の脇にあるのは速度0までの所要時間(秒)。

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