㉓ 転がり抵抗の90%はタイヤのエネルギーロス。太さとの関係は「?」。

転がり抵抗については⑪の「軽い走りのために最初に必要なことは…」で少し触れましたが、この抵抗には、1)タイヤ接地部の一時的変形に伴うエネルギーロス。2)路面の状況によるエネルギーロス。3)接地部の摩擦力によるエネルギーロス。4)タイヤの回転に伴う空気抵抗によるエネルギーロスなどが含まれており、その中でとりわけ大きいのが1)のタイヤ接地部の一時的変形に伴うロスで、タイヤ変形-Bこれが転がり抵抗全体の90%ほどを占めています。
タイヤ接地部の一時的変形は(F1)のようになりますが、力と伸びの関係を図にすると、タイヤは(F2A)の鋼鉄のバネと違って変形が直線状にならずに(F2B)のように曲線になり、しかも力が加わったときの曲線と力が除かれたときの曲線が一致しません。そのために図の赤い部分が熱エネルギーとなって失われ、これが抵抗というカタチをとります。転がり抵抗は速度のばね上昇に伴い増大しますが、ごく僅かなために通常では無視してもよく、転がり抵抗の大きさは下記によって算出します。

∗転がり抵抗=転がり抵抗係数×全重量
転がり抵抗係数はそれぞれのタイヤ独自のもので、同じタイヤでも空気圧や路面の状況によって違ってきますが、一般的には所定の空気圧による乾いたコンクリート路面でのロードタイヤには0.005、ピストタイヤには0.004が適用されています。
タイヤの太さの大小と転がり抵抗の大小の関係は、タイヤ接地面の長さと凹みの深さの関係で決まり、
∗転がり抵抗係数=定数C×(凹みの深さS÷接地面の長さL)
という計算式があります。(C:Constant)
ホイール径の大小と転がり抵抗の大小については25年ほど前に700Cと600Cで測定し、600Cのほうが転がり抵抗が大きくなることを確かめましたが、昨今話題のタイヤの太さ25Cと23Cについては接地部の違いがきわめて小さいものになるでしょうから、実測は難しいかもしれません。
ちなみに一般車の場合、定数には0.33を適用しています転がり抵抗

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