ハンドリング特性の良否を握るトレールの長さが許容範囲の外にあるために、直進性と運動性のバランスの悪いロードレーサーに乗ったとします。それまでロードレーサーに乗ったことがなければ、ロードレーサーのハンドリング特性とはこんなものか、となるでしょうし、そうでない場合でも乗り続けているうちに、良いとは言え
レーサーのトレールが許容範囲の外にあって長すぎる時には許容範囲の中の長い方(オフセット→小)を、短すぎる時には許容範囲の中の短い方(オフセット→大)を採用します。こうすることによって、それまでとの違和感を小さく抑えながら、「歪んだスタンダード」を「正当なスタンダード」に変えるわけです。
ないハンドリング特性がその乗り手の「スタンダード」になってしまうでしょう。でも、これは「歪んだスタンダード」です。
こうしたことが起こるのは人間には「慣れ」という能力があるからですが、乗り手と自転車とのベストマッチングでは数値だけではなく、「慣れ」も考慮する必要があります。
たとえば、新たにロードレーサーをつくる場合、それまでのロード
「慣れ」はライディングポジションの変更でも見られ、長い目で見れば新ポジションのほうが良くても、一時的にパフォーマンスが低下することがあります。これは筋神経が旧ポジションに慣れているためで、サドル高やクランク長の変更ではよくあることです。したがって、ある程度の期間にわたり走りこむことが必要で、一度だけのテストではポジションの良否は決められません。