走行中の自転車に常に発生しているのが、空気抵抗と転がり抵抗であることはよく知られています。時速15km/hあたりまでは転がり抵抗の方が空気抵抗よりも大きく、それを過ぎると空気抵抗が上向きカーブを描いて大きくなります。
自転車の歴史は軽量化の歴史という言葉もありますが、重量が「走り」と関係するのは、タイヤに転がり抵抗が発生するからです。
ときに目にする「200gの軽量化に成功!」では転がり抵抗の減少は1gfにすぎず、殆ど0に近い数値です。
では重量がそのまま効いてくると言われる登坂抵抗の場合はどうでしょうか。
登坂抵抗は、重量×勾配%÷100ですから、10%の上りでは
1kg×10÷100=0.1kgf=100gf
タイヤはそれぞれ固有の「転がり抵抗係数」をもち、コンクリート路面でのロードタイヤの転がり抵抗係数は0.005ぐらいで、重量にこの数値を掛けたものが転がり抵抗になります。
したがって、1kgという大幅な軽量化が行われても、平坦路では
1kg×0.005=0.005kgf=5gf
走行抵抗が減るだけで、料理用の計量小さじ1杯分の水の重さ。その違いを捉えることのできるサイクリストは皆無でしょう。
になり、抵抗の減少は確かに大きくなりますが、それでも200cc計量カップ半分の水の重さにすぎません。
「200gの軽量化に成功!」では勾配10%でも20gf。勾配5%なら10gfですから、小さじ2杯分です。とはいっても、軽量化という言葉には抗しがたい響きがあることも確かです。
となると、軽量化がもたらす最大のものは、自転車が軽くなった、だからこれまでよりも速く走れる、といった自己暗示効果かもしれません。