衝撃と振動―。自転車の場合、衝撃は吸収される/吸収されない、振動は収まる/収まらない、というところで考えると、解りやすいのではないかと思います。
まず衝撃についてで、これを吸収するには一時的な変形が必要です。変形することによって、力を逃がすわけです。したがって、一時的な変形がない場合、衝撃は吸収されません。
そこで、衝撃を受けた際のスチールフォークとカーボンフォークとの違いについてです。
スチールフォークの形状は先細りで曲げがついているのが一般的です。この曲げは前輪をオフセットするためというよりもチューブの先細りと相まって衝撃吸収性と路面追随性を高めるためにつけられています(図上右)。路面追随性が大切なのは、前輪系がどんなに周到に設計されていても、車輪が弾んで地面から離れていては、その設計が活かされないからです。
一方、カーボンフォークは、素材の特徴に弾性率が非常に高いというのがあり、これは変形しにくいことにつながりますから、衝撃を吸収しないということになります(図上左)。
次に振動については、スチールは振動が尾を引きますが、カーボンは振動が速やかに収まります(下図左右)。
したがって、素材の異なるこの2種類のフォークの特徴は、
*スチール:振動は残るが、路面からの
衝撃は緩和され、ダイレクトに来ない。
*カーボン:振動はすぐに収まるが、路面からの衝撃は吸収されず、突き上げるような感じでダイレクトに来る。
となります。こう見てくると、スチールフォークは色々な路面に対応できる万能型。カーボンフォークは整備された路面を対象とした限定型となります。ですから、こうしたことを考慮してフォークを選択するのが、賢いやりかたと言えるでしょう。