⑨ 操縦性の良否の鍵を握るトレール。

カタログなどの自転車のジオメトリーの表示には、大概はヘッドアングルとフォークオフセットの数値が記載されています。しかし、自転車の操縦性の良否、すなわち直進性と運動性のバランスの良否の鍵を握っているのは、記載されていることの少ないトレールです(F1)。トレールはヘッドアングルとフォークオフセットによって規定され、ヘッドアングルが同じ場合は、geometry-B-BJフォークオフセットがが大きくなるほどトレールは短くなり、フォークオフセットが小さくなるほどトレールは長くなります(F2)。そして、その長短によって運動性と直進性の強さのバランスが決まります。したがって、ヘッドアングルとフォークオフセットのどちらかの記載が無い場合は、その自転車の操縦性を予測することができません。
通常のロードレーサーでは、トレールの長短の適正範囲は2mm程度、許容範囲は4mm程度ですが、この4mmというわずかな違いでも操縦性に違いが生じて、トレールが短い場合は運動性が強くなり、トレールが長い場合は直進性が強くなります。
これを具体的に記しますと、トレールが短い自転車は挙動がクイック。トレールが長い自転車はそれまでの進路を保持しようとする性質が強く出て、思惑どおりの旋回がしにくくなります。headangle
こうしたことから、SAMSONでは、たとえばヘッドアングル73゜のロードレーサー場合、トレールが60mm以上になると、コーナリングに問題ありとしています。では、ヘッドアングルが変わった場合はどうでしょうか・・・。それについては次回でお話ししましょう。

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