この3枚の写真は、1903年の第1回ツール2位のルシアン・ポティエ、40年代から50年代にかけてジロで5勝をあげたファウスト・コッピ、そして50年代から60年代にかけてツールで5勝をあげたジャック・アンクティルです。
これら歴代の選手のレーサーについて、BB基点による長さの前後配分を写真で測ってみると、ポティエが1.36:1、コッピが1.44:1、アンクティルが1.43:1。その他では、第1回ツールの優勝者モーリス・ギャランが1.30:1、20年代から30年代にかけてジロで5勝をあげた。アルフレード・ビンダが1.40:1、2人目のツール5勝のエディ・メルクスが1.44:1、3人目のツール5勝のベルナール・イノーが1.45:1、90年代を代表するヒルクライマーのマルコ・パンターニが1.45:1で、コッピ以降は1.43:1から1.45:1という狭い範囲に集約されていました。
要するに、BB基点の前後配分は1.3:1あたりから始まってその比率が段々に大きくなり、1940年代から50年代に現行の配分が定着したとしても間違いではないようです。
では、定着の理由は…。そうした前後配分によってもたらされる前後軸荷重配分でのステアリング特性を、人間の感性が良しとしたからでしょう。
しかし、この特性は自転車が水平の場合で、登りや下りでは軸荷重配分が概念図のように変わってきます。したがって、登りでは腰の前方移動、下りでは後方移動が必要になります。特に登りでは、図のように勾配分だけ実質シートアングルが小さくなりますから、腰の前方移動が必要です。腰の移動量は1度=約1cmとして、この〔勾配%と度〕の表を参考にしてください。