⑳ 旋回…加速…転倒。

自転車の旋回の原理は前項で書きました。そこで今回は、同じ旋回半径を前提にした場合の転倒に至るまでの段階を順次追ってみます。平坦路では旋回中に加速することはないでしょうが、下りコーナーでは加速の可能性がありますから…
1.ある速さで旋回しているとします。重力と遠心力の合力の方向は接地線を通っており、遠心力と向心力(サイドフォース)が釣り合った状態です。
2.速度が速まります。すると遠心力が向心力よりも大きくなり、重力と遠心力の合力の方向は接地線よりも旋回の外側になります。
3.そこでキャンバーアングル(内傾角)を大きくして、遠心力と向心力を釣り合せ、重力と遠心力の合力の方向が接地線を通るようにします。

この段階ではまだタイヤ接地部の摩擦力の限界のほうがサイドフォース(向心力)よりも大きいために、旋回を続けることができます。
4.さらに速度が速まります。
5.キャンバーアングルをさらに大きくします。ところが、サイドフォースがタイヤ接地部の摩擦力の限界よりも大きくなって…
6.タイヤが旋回の外側に向かって滑り、乗り手と自転車は旋回の内側に転倒します。後輪の滑りならまだしも、前輪のサイドフォースが前輪の摩擦力の限界を超えた場合は最悪で、もんどりうって大転倒となることが多く、鎖骨骨折や骨盤の損傷を招く恐れがあります。

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